沼津市には、「駿河には過ぎたるものが二つあり 富士のお山に原の白隠」と言われた僧がいる。江戸時代の禅僧・白隠慧鶴(はくいん えかく)だ。
その白隠が約50年にわたって住職を務めたのが、沼津市の松蔭寺(しょういんじ)である。境内には白隠の墓があり、静岡県の指定史跡になっている。山門と開山堂は平成28年8月に国の登録有形文化財になった。
沼津港から車で20分ほど。海鮮グルメとはまったく違う沼津の一面が、ここにある。
※ ピンは松蔭寺(静岡県沼津市原128)。JR東海道線「原駅」から徒歩8〜10分。 地図は指やマウスで動かせます。左上の「+」「−」で拡大・縮小できます。(地図:国土地理院 淡色地図/座標:国土地理院の住所検索)
松蔭寺とはどんな寺か
約700年続く臨済宗の古寺
松蔭寺は臨済宗の寺で、弘安2年(1279年)に天祥西堂が開山したと伝わる。約700年の歴史がある。
この寺の名を全国に知らしめたのが、江戸時代の住職・白隠禅師だった。
白隠禅師と松蔭寺
沼津市の資料によると、白隠と松蔭寺の関わりはこうなっている。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1685年 | 白隠、原(現在の沼津市原)に生まれる |
| 15歳 | 出家し、慧鶴と改める |
| 享保2年(1717年) | 松蔭寺の住職となる |
| 享保3年(34歳) | 京都・妙心寺の第一座となる |
| 明和5年(1768年) | 84歳で入寂。境内に墓がある |
白隠は臨済宗の中興の祖とされる人物で、いまも禅の世界で名を知られている。その人が生まれ、住職を務め、亡くなった場所が、この沼津市原の寺だ。
見どころ
白隠の墓(静岡県指定史跡)
境内に白隠の墓がある。静岡県の指定史跡になっている。
山門(国の登録有形文化財)
山門は平成28年8月に国の有形文化財に登録された。この山門には、白隠の考案といわれる特徴がある。
沼津市の説明を引くと、こうだ。
> 山門は石瓦葺きであることで、幅約30センチ、長さ約1メートルのものを1面3段54枚、裏表合わせて108枚を用いて葺かれており、白隠禅師の考案といわれる
> (出典:沼津市 文化財のページ)
108枚という数は、煩悩の数と同じだ。屋根に石の瓦を使うこと自体が珍しく、そこに数の意味まで込められている。
開山堂(国の登録有形文化財)
開山堂も、山門と同じく平成28年8月に国の登録有形文化財になっている。
「すり鉢の松」は今は無い
この寺には、かつて「すり鉢の松」と呼ばれる松があった。沼津市の説明によると、由来はこうだ。
> 白隠が岡山城主池田侯から贈られた備前焼のすり鉢を、台風によって裂けた松の枝の雨避けにかぶせたもの
> (出典:沼津市 文化財のページ)
贈られた高価なすり鉢を、傷ついた松の手当てに使ったという逸話だ。ただしこの松は枯死したため、現在は伐採されている。 訪れても現物は見られないので、行く前に知っておきたい。
参拝の前に知っておきたいこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 〒410-0312 静岡県沼津市原128 |
| 電話 | 055-966-0011 |
| 最寄り駅 | JR東海道線「原駅」から徒歩8〜10分 |
| バス | JR沼津駅南口から富士急バス「白隠前」下車 |
| 駐車場 | あり |
| 拝観時間・拝観料 | 公式の案内なし(訪れる前に電話で確認を) |
拝観時間と拝観料は公式に案内されていない。 現役の寺なので、法要などで境内に入れない日もある。確実に見たいなら、事前に電話(055-966-0011)で確認するのが早い。
白隠の禅画が伝わる寺
白隠は禅僧であると同時に、画を描く人でもあった。釈迦・観音・達磨などを描いた禅画が、いまも松蔭寺に多数保存されている。
墨で大胆に描かれた白隠の禅画は、素人にも分かりやすい表情をしている。難しい教えを絵で伝えようとした人だった、ということが見て取れる。
ただし常時公開されているとは限らない。 見たい場合は、これも事前の確認が要る。
行き方
電車で行く
JR東海道線「原駅」から徒歩8〜10分。
沼津駅から原駅までは、東海道線で西へ数駅。沼津港の最寄りである沼津駅とは反対方向になるので、港とセットで回るなら移動時間を見込んでおきたい。
原駅は各駅停車のみが停まる駅で、沼津駅から乗り換えなしで行ける。
バスで行く
JR沼津駅南口から富士急バス「白隠前」下車。
停留所の名前がそのまま「白隠前」になっている。それだけこの土地で白隠が知られているということでもある。
車で行く
所在地は静岡県沼津市原128(沼津観光ポータル)。沼津港からは西へ向かって20分ほど。
沼津港とセットで回るなら、次の記事も参考になる。
行く前に知っておきたい注意点
ここは観光施設ではなく、いまも使われている寺だ。
1. 拝観時間・拝観料は公式に案内されていない。 電話(055-966-0011)で確認してから向かうのが確実
2. 法要などで境内に入れない場合がある
3. 「すり鉢の松」は伐採済み。写真で見た松を探しても現物は無い
4. 駐車場の有無や台数も、事前に確認しておくと安心
静かに参拝する場所であることを前提に訪れたい。
沼津港とあわせて回るなら
松蔭寺は沼津市の西側にあり、沼津港からは離れている。同じ日に回るなら、港での食事を先に済ませてから西へ向かうのが動きやすい。
沼津の歴史をもっと知りたいなら、こちらもある。
まとめ
松蔭寺は、江戸時代の禅僧・白隠慧鶴が約50年住職を務めた寺だ。
- 開山は弘安2年(1279年)。約700年の歴史がある
- 白隠は享保2年(1717年)に住職となり、明和5年(1768年)に84歳で入寂
- 白隠の墓は静岡県の指定史跡
- 山門と開山堂は平成28年8月に国の登録有形文化財
- 山門の石瓦は裏表合わせて108枚。白隠の考案といわれる
- 「すり鉢の松」は枯死して伐採済み
行き方はJR原駅から徒歩8〜10分、または沼津駅南口から富士急バス「白隠前」下車。駐車場もある。
拝観時間・拝観料の案内は公式に無いので、電話(055-966-0011)で確認してから向かいたい。
沼津港の海鮮を目当てに来た人にとっては寄り道になるが、「駿河には過ぎたるものが二つあり」と言われた人物の足跡が、この町に残っている。
よくある質問
Q. 松蔭寺はどこにありますか?
静岡県沼津市原128。 JR東海道線「原駅」から徒歩約10分、またはJR沼津駅南口から富士急バス「白隠前」下車。
Q. 駐車場はありますか?
ある。 ただし台数は公表されていないため、団体や繁忙期は事前に問い合わせておきたい。
Q. 白隠の絵は見られますか?
釈迦・観音・達磨などを描いた禅画が多数保存されている。 ただし常時公開されているとは限らないので、見たい場合は事前の確認が必要になる。
Q. 白隠禅師とはどんな人ですか?
臨済宗の中興の祖とされる江戸時代の禅僧。 1685年に原(現在の沼津市原)に生まれ、15歳で出家。享保2年(1717年)に松蔭寺の住職となり、34歳で京都・妙心寺の第一座となった。明和5年(1768年)に84歳で亡くなり、松蔭寺の境内に墓がある。
Q. 「すり鉢の松」は見られますか?
見られない。 白隠が岡山城主から贈られた備前焼のすり鉢を、台風で裂けた松の枝の雨避けにかぶせたという逸話の松だが、枯死したため現在は伐採されている。
Q. 沼津港から近いですか?
車で20分ほど。 沼津港は市の東側、松蔭寺は西側の原地区にあるので、同じ日に回るなら移動時間を見込んでおきたい。
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